
なぜ?不動産会社に欠かせない「電話」が苦手な人が増えている
電話に対して苦手意識を抱える人が増えています。人によって形はさまざまですが、声が小さくなる人、仕事として不適切な言葉を使ってしまう人、相手の要件や連絡先を聞くことができない人など、上司の立場からすると頭を抱えたくなるような対応になってしまう人が増えています。彼らはなぜ電話を苦手だと感じてしまうのでしょうか?
なぜ現代人には「電話」が苦手な人が多いのか
電話を苦手とする人が増えている背景には環境の変化によるコミュニケーション方法の変容があります。総務省の統計によると固定電話の世帯加入率は2010年に85.8%だったものが10年後の2020年には68.1%と約2割減っており、今後も引き続き減少していく見込みです。いっぽう、同じ期間のスマートフォンの保有率は9.7%から86.8%と9倍ほどに急増しています。
つまり、電話は1家族に1台から1人に1台の時代へと変貌を遂げることとなりました。スマートフォンの普及に伴い固定電話の数が減り、自分以外の家族に掛かってきた電話を受ける機会が徐々に少なくなっていきましたが、SNSの発達により、チャットやメールでの会話は頻繁に行われるようになりました。通話となると、すでに会ったことがあるもしくはチャットでやりとりしたことがある人と話す機会が多くなり、自分の知らない誰かと話す機会はめっきり少なくなってしまいました。
そういった背景から、知らない誰かと話すことに苦手意識が芽生え、電話が鳴ると緊張してしまい声が小さくなったり、電話で話す経験の不足から友達との会話のような言葉使いになったり、うまく相手との会話ができず、要件を聞き出すことができなくなったりする訳です。
業界全体がアナログ方式に頼りきり?
しかしながら不動産業界は今でもアナログ方式が跋扈する古い体質が色濃く残る業界です。顧客に対しても取引先に対しても、まずは電話をかけてコミュニケーションを取ることが当たり前となっており、空室の確認や申し込み状況の確認は必ずといってよいほど電話で行われます。
また、図面や申込書、内見依頼書などのやり取りはFAXで行うことが一般的です。とはいえ、不動産業界で当たり前に行われている昔ながらのアナログ方式業務に対して効率が悪いと感じている人は少なくありません。
電話での問い合わせは相手が変われど、同じことを繰り返しているだけですし、FAXなどは送ったかどうか届いたかどうかを電話で何度も確認する必要があって、バタバタしているときなどはFAX番号と電話番号を間違えてしまって、番号を訂正して送りなおしたら「不鮮明なのでメールで送ってください」といわれたりします。
そういった古いアナログ方式は貴重な時間や人的資源を浪費することになり、それに携わる人たちを疲弊させてしまいます。そういったことから、最近の不動産業界では、アナログ方式からの脱却をするべく、少しずつではありますが、電話やFAXに代わる手段を採用する会社が増えてきました。
電話以外の連絡手段を用意するのがおすすめ
電話に代わる連絡手段として、多くの会社が導入しているものが自動音声サービスです。ナビダイヤル式のものと音声通話式のものに分かれますが、概ね内容は同じです。空室確認や申し込み状況を自動音声で対応してくれますので、これだけで掛かってくる電話のほとんどに時間を割く必要がなくなります。
また、FAXでやり取りをしている図面や申込書、内見依頼書の送付はWEB上で簡単に完結するサービスが続々とリリースされています。オンラインで24時間いつでも受付可能なため、時間や人的資源の削減につながるだけではなく、夜間の内見予約や営業時間外の申し込み受付など、今まで取りこぼしてしまっていた需要を新たに取り込むこともできます。
なお、PDFなどで書面のやり取りができればお互いが時間のあるときに確認できることや、不鮮明さを理由に送りなおす必要もなくなるため、書類送付にかかる手間が省け、その分、別の業務にあたることができるという点も見逃してはいけません。
さらに、チャット機能を活用すれば、問合せから契約締結まで電話で話すことなく完了させることも可能です。ちなみに、これらのサービスを利用するためには決して高額な費用を支払う必要はなく、月々、数万円程度で導入ができるため、小規模な事業者でも手軽に導入を検討できます。
電話で話すことを苦手だと感じている人が増えてきている背景には技術の進歩による環境の変化があります。今の状況を考えると今後もこの流れは変わらないでしょう。しかし、それは同時に不動産業界が古いアナログ方式から脱却し変化していくことでもあります。電話での対応ができるに越したことはありませんが、それ以外の部分にも目を向け、さまざまなサービスを組み合わせることで、苦手分野以外で活躍できるフィールドを提供できます。得意分野であれば成果につながりやすいので、一度、電話に代わるサービスの導入をご検討されてはいかがでしょうか。